tokyotowerstsyk’s blog

初期のパーキンソン病患者です。治療の記録とともに、日常生活の中で印象に残るイベント、旅行などのレビューも併せてアップしています

神経内科へ

 前述のような症状が現れたら、迷わず神経内科に受診することだ。

 中には、神経内科がある病院でも、脳神経外科がメインで、最初の診察は脳神経外科の医師が診察した上で神経内科に回す、というところがある。私の場合は、そういう病院に最初に行ったのだが、なかなか神経内科に回してもらえず(パーキンソン病ではない、といわれ)、半年も無駄な時間を費やしたことがある。いろいろ薬をもらったが、一向に快復しないので、神経内科の専門医を自ら探して、そこでようやく治療が始まったのである。だから、最初に脳神経外科がジャッジを下す病院は、お勧めできない。

 

また、特有の症状の一つとして、睡眠時(脳が覚醒し、身体が眠っている、いわゆるレム睡眠時)に、突然、大声で寝言を言ってみたり、中には隣に寝ている人にパンチを浴びせたり、部屋の中を歩き回る、ということがある。私も、現在、大声で寝言を言う症状がある。妻が一度、それを録音したことがあるが、それを聞くと、普段モゴモゴとはっきりしない発音でしゃべる自分が、まるで別人のようにテンポ速く、明確な滑舌でしゃべっている。ところが、その内容は大部分が支離滅裂だ。

この、睡眠障害のような症状が、身体の異変に先行して現れる場合も多いのだという。仮に、そのような症状がある場合には、念のために受診しておくと良いと思う。

 

 最初に処方されたのは、シンメトレル錠だ。これは、脳幹を刺激して、ドパミンを出すように促す役目があるらしい。事実、これを飲んだその日から、動かなかった足がすいすいと前に出る、以前の感覚に戻ったことを覚えている。しかし、その効力も1ヶ月ほどしかもたないので、その後、治療の主力となるメネシットを処方される。メネシットは、ドパミンそのものなので、効果は大きい。

 初期の段階では、シンメトレルとメネシットを柱として、シンメトレルの効く時間が切れたとしても、脳幹にシンメトレルと同じ効果を与え続けるレキップ(仮想シンメトレル)、さらに、メネシットの効果を増幅させるコムタン、エフピーという薬が追加されていく。幸い、私の場合は、これらの薬がピッタリと適合した。

 そのわけは、東大病院での二週間にわたる検査入院が功を奏した。

異変に気づく

私が最初に身体の異変を感じたのは、4年ほど前の52歳の時だ。気がつくと、全身にひどい倦怠感を感じるようになっていた。当時は、寝たきりで認知症を患っていた母親の介護に追われて睡眠時間も一日に2~3時間程度しかなかったので、その疲れのためだと思い込んでいた。頭の中が眠気で占められ、あらゆる動作が鈍くなっていた。何をやるにしても、「面倒だな・・・身体が重いのに」という気持ちが先に立ち、椅子から立ち上がる時でさえ、「ヨッコラショ」という感じで、非常に時間がかかる。

 

そのうち、もっと具体的な自覚症状が現れた。まず、歩行の際に、左足が前に出ない。特に、坂が上れない。まるで、左足首におもりをつけているような感覚だった。平地でも、びっこを引くような歩き方になる。これには、本当に参った。さらに、長い距離を歩くには、休憩を入れなければ足が動かなくなる。

それでいて、不思議だったのは(今でもそうだが)、階段の上り下りはまったく問題なくできることだった。後に、医師から聞いた話では、これは、パーキンソン病の特徴で、外的環境に歩くリズムが設定されている場合(横断歩道のように横線が均等に描かれている場合や、音楽に合わせて歩く場合)は、ほとんど障害を感じないのだという。ところが、普通の人ができる「無意識の状態で」歩くことができなくなる。私にとって一番苦手なのは、デパートなどでのウィンドウショッピングのように、ぶらぶらと歩くことだ。また、「何かをやりながら」歩くというのもまったくだめだ。バッグの中身を確かめながら歩くことは、未だにできない。

当時から、疲れがたまる帰り道は、足を引きずりながらのろのろと歩いていた。しかし、これもまた不思議なことだが、例えば、「今夜7時から楽しみにしていたサッカーのテレビ中継があるな・・・」などと思い出したときには、見違えるように足取りが軽くなる。これもまた、医師からの話だが、阪神大震災の時に、病院に入院していたほとんど寝たきりのパーキンソン病の方が、避難の際には普通に起き上がって、スタスタと自力で歩いて行った、という記録があるのだという。

そのほかにも、自転車に乗れなくなる(バランスが取れない)、僅か2~3段の脚立にさえ登れない、文字を手書きで書くと、だんだん文字のサイズが小さくなり、判読できなくなる、などの母親と同じ症状(母親もこのパーキンソン病患者だった)が次々と現れた。

そして、ついに病院で受診することになったのだが・・・

 

パーキンソン病と共に

東京都に在住するパーキンソン病初期の患者です。5年ほど前の52歳の時、突然発症し始めました。幸い、通院治療とヨガ、ジムでのトレーニングで普通に暮らすことができ、仕事も続けています。ただ、この病気特有の症状と付き合っていくことは、難しさも伴います。これまでの経過も含め、日常を記録することで、同じ病と戦っている方々と気持ちを少しでもシェアすることができればと願うと共に、身体の異変に気づいた場合の参考になればと思っています。

パーキンソン病は、早期に発見し、適切な投薬治療を受けることができれば、うまく共存することができます。最初のポイントは、この病気と似た、パーキンソン関連疾患なのか、正真正銘のパーキンソン病かを医師が見極めてくれるかどうかにあります。現に私も、その判定をもらうまで、だいぶ遠回りしてしまいました。これが、もっと早くわかって対処ができていたら、身体の状態は今よりもっと楽になっていたのではないか・・・と思ったりしています。

私自身の失敗談も含め、日常を綴っていきます。次回は、私の身体の変調に気づいた時の症状から、最初の病院に診察を受けるまでのことを書いてみたいと思います。