tokyotowerstsyk’s blog

初期のパーキンソン病患者です。治療の記録とともに、日常生活の中で印象に残るイベント、旅行などのレビューも併せてアップしています

異変に気づく

私が最初に身体の異変を感じたのは、4年ほど前の52歳の時だ。気がつくと、全身にひどい倦怠感を感じるようになっていた。当時は、寝たきりで認知症を患っていた母親の介護に追われて睡眠時間も一日に2~3時間程度しかなかったので、その疲れのためだと思い込んでいた。頭の中が眠気で占められ、あらゆる動作が鈍くなっていた。何をやるにしても、「面倒だな・・・身体が重いのに」という気持ちが先に立ち、椅子から立ち上がる時でさえ、「ヨッコラショ」という感じで、非常に時間がかかる。

 

そのうち、もっと具体的な自覚症状が現れた。まず、歩行の際に、左足が前に出ない。特に、坂が上れない。まるで、左足首におもりをつけているような感覚だった。平地でも、びっこを引くような歩き方になる。これには、本当に参った。さらに、長い距離を歩くには、休憩を入れなければ足が動かなくなる。

それでいて、不思議だったのは(今でもそうだが)、階段の上り下りはまったく問題なくできることだった。後に、医師から聞いた話では、これは、パーキンソン病の特徴で、外的環境に歩くリズムが設定されている場合(横断歩道のように横線が均等に描かれている場合や、音楽に合わせて歩く場合)は、ほとんど障害を感じないのだという。ところが、普通の人ができる「無意識の状態で」歩くことができなくなる。私にとって一番苦手なのは、デパートなどでのウィンドウショッピングのように、ぶらぶらと歩くことだ。また、「何かをやりながら」歩くというのもまったくだめだ。バッグの中身を確かめながら歩くことは、未だにできない。

当時から、疲れがたまる帰り道は、足を引きずりながらのろのろと歩いていた。しかし、これもまた不思議なことだが、例えば、「今夜7時から楽しみにしていたサッカーのテレビ中継があるな・・・」などと思い出したときには、見違えるように足取りが軽くなる。これもまた、医師からの話だが、阪神大震災の時に、病院に入院していたほとんど寝たきりのパーキンソン病の方が、避難の際には普通に起き上がって、スタスタと自力で歩いて行った、という記録があるのだという。

そのほかにも、自転車に乗れなくなる(バランスが取れない)、僅か2~3段の脚立にさえ登れない、文字を手書きで書くと、だんだん文字のサイズが小さくなり、判読できなくなる、などの母親と同じ症状(母親もこのパーキンソン病患者だった)が次々と現れた。

そして、ついに病院で受診することになったのだが・・・