tokyotowerstsyk’s blog

初期のパーキンソン病患者です。治療の記録とともに、日常生活の中で印象に残るイベント、旅行などのレビューも併せてアップしています

東大病院に検査入院

 その後、縁あって亡き母親の主治医に診察を受けることとなった。当時、非常勤医師として診察してもらった主治医は、東大病院の神経内科を拠点として医療、研究活動にあたっている新進気鋭の医師だった。

 約二週間にわたる検査入院を勧められた理由の一つに、まちがいなくパーキンソン病であるという確証を得ておきたかったことがある。前述の通り、歩きにくい、動きが遅くなる、倦怠感、といった症状は、パーキンソン病のようで、実はそうではないパーキンソン関連疾患、と呼ばれる可能性もある。このあたりをはっきりさせておかないと、照準を合わせた投薬ができにくい、ということだった。

 

 用意された病室は、新築で、まるでホテルを思わせるような二人部屋だった。

 そこで、朝六時起床、八時に朝食、就寝は午後九時、という規則正しい二週間が始まった。二週間といっても、毎日検査があるわけではなく、平均して二日に1回という割合だった。検査項目は思ったよりもはるかに多く、脳のMRI,脳血流、心電図、医師による触診、教授回診、心理テスト、と盛り沢山だった。

 検査の結果、まぎれもなくパーキンソン病だと診断された。

 決め手となったのは、心電図の異常な動きにあった。通常の健康診断で行う心電図検査よりも、かなり長く(約1時間ほど)かかる特殊な検査だった。パーキンソン病患者には、ある共通した、異常な心臓の動きが時々に現れるらしい。その異状パターンが自分にもあったということだ。

 ちなみに、心理テストは、記憶力や空間造形力、言語能力を問うもので、2回も行うことになった。その理由は、MRIによって、脳の萎縮、とりわけ後頭部にある統合視覚野というところが縮んでいるので、そのあたりの影響を調べたという。実際、自分は

言語能力には優れていたが、マッチ棒で図形を再現するテストは、平均を下回っていた。パーキンソン病は、体内にレビー小体という悪性タンパク質をまき散らすらしいが、これが脳に付着すると、その部分の萎縮がおき、最悪の場合は認知症にまで行き着くのだという。

 しかし、こればかりはどうにもならないので、医師から、「今、できる治療をやりましょう」と言われ、先のことは考えないことにした。

 

 検査を受けて良かったことは、病名が確定し、気分がスッキリしたことだ。投薬も、幅広い視野からではなく、ピンポイントに絞った視野で選択でき、今でも非常によく効いている。